
年末に、ある企業の商品キャラクターとして、
ロボット(メカニック)を3DCGにて描く、というお仕事が入り、
ただいま、デザインを決めるためのラフスケッチを起こしているのですが、
そのための資料として、今回、いくつかの本を購入してみました。
なにしろ、こうした種類の仕事は、PC雑誌の挿絵など、
いままでにも多数手掛けており、
また、今後も、同様の案件の発生は容易に想像できるので、
資料本を揃えておくことは、将来においても、大いに役に立つはずです。
というわけで、amazonで、
それらしい本をいくつかチョイスして注文してみたのですが、
なにしろこちらは田舎で、そうした資料本を、
事前に本屋さんで見て確かめることは、残念ながらできません。
そのため、資料本をネットで買う場合は、いつも、
アタリと出るかハズレと出るか、という、
半ば博打的な思いで購入することとなります。

さて、今回購入した資料本のうちのひとつが「Brast」です。
以前購入した「Draive」と同じ出版社(Design Studio Pr)の書籍で、
サイズもまったく同じ。
どうやら、一連のシリーズとなっているようです。
日本の出版物で、未来的なメカニックを掲載した本となると、その多くが、
アニメーションの設定本になってしまうようになるのではないかと思います。
もちろん、アニメ本でも資料にはなるかと思いますが、
アニメにはディティール表現という点で、大きな制約があり、
自由にデザインされたものとはいい難いと思います。
また、アニメのメカはどうしても兵器系ロボットに偏りがちで、
同時に、私の個人的な認識ですが、
デザインラインにも一定の傾向があるように思えます。

その点、海外の出版物は、イラストそのものの完成度も高く、
また、デザインラインにも、和製メカにはない新鮮さが感じられるように思います。
価格は2000円強とリーズナブルでありながら、全編ほぼ四色刷り(カラー)で、
コストパフォーマンスの高いものといえます。
ただ、全編英文で書かれているため、文章を解するのは難しいです。
とはいえ、ビジュアルを見るのが目的なので、
英語版でも、問題はないのですが…。

完成度の高いイラストだけでなく、
メカを生み出す過程で描かれたラフスケッチも
豊富に掲載されていて、とても興味深いです。
ただ、ガンダム系のメカに慣れ親しんでいる方には、
ちょっと抵抗を感じるデザインが多いかもしれません。
いずれにしろ、このDesign Studio Pr社の本には、いまのところ、
ハズレはないように思います。

そしてもうひとつ。
Nuthin but Mechという本です。
こちらも洋書で、出版社も、前出のBlast同様、
Design Studio Prのものです。

こちらは、主にロボットのイラストを掲載したものなのですが、
日本のアニメのロボットとは一味も二味も違ったデザインが楽しめます。

とはいえ、日本人受けしそうなロボットも多々ありますし、
西洋視点で描かれた東洋テイストなイラストも見受けられ、
とても興味深いです。
もっとも、なかには、クオリティの高くないイラストや、
デザイン的な面白さが足りないと感じるものもいくつかありますが、
こちらも価格が2000円程度と安く、
総じて、買っておいて損のない本ではないかと思います。

最後に紹介するのは、
ARMORED CORE DESIGNS 4 & for Answer
こちらは、洋書ではなく和書で、前出の二冊とは違い、
6,300円と極めて高額な書籍です。
アーマードコアというのは、ゲームらしく、
ゲームをまったくしない私は、このアーマードコアについて、
何の知識も持っていません。
おそらく、アーマードコアについてまったく何も知らない人間が、
この本を買うのは、極めて希なことだと思います。
とはいえ、今回のお仕事では、クライアントさまより、
アーマードコア的イメージでとの要望もあるため、この資料は、
どうしても必要となりました。

このアーマードコアに登場するのは、
ほとんどがロボット兵器で、その点では、
アニメーションのメカニックの延長上にあるともいえるかもしれません。
ですが、アニメメカとは違い、徹底的なディテール追求がなされています。
その密度は過剰とも思えるほどで、一見しただけでは、
ロボットの基本フォルムが認識しづらいほど、複雑な形状のものもあります。
関節などの可動部は「動く」という必要性を満たすため、
機構や構造が複雑さを帯びると思いますが、それ以外の部分では、
シンプルな部分があってもいいのかな、と、個人的には思います。
(もっとも、このゴチャゴチャ感のデザインラインが、
アーマードコアの世界観を、作り出しているのでしょうが…)

それにしてもこの本は、
6,000円を超える本に恥じない、濃密な内容を持っています。
ロボットが手にする銃やミサイルポッドのような小物も、
加えて、建物や補助車輛に至るまで、徹底的に描かれています。
ゲームの世界観の説明や、デザインの理論付けなども綿密になされており、
読み物としても、手応えのあるものとなっています。
この本の欠点は、あまりに重厚な想定のため、
机のうえに無造作において、パラパラと気軽に見れないところかもしれません。
いずれにしろ、地方都市に住む人間にとっては、
こうした本を手に取ってみる機会は少なく、
購入にさいして、迷うこともあるのではないかと思います。
この記事が、これらの書籍の購入を迷っている方に、
また、洋書のイラスト集の内容に興味をお持ちの方に、
少しでもお役に立てば、さいわいに思います。
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