F1-2000俯瞰図

私が使っている3DCGのソフトは、
Shade 3Dというものなのですが、このShadeは、基本的に、
adobeイラストレーターと同じような、ベジェ曲線によってラインを調整して、
意図した形状を作成するものとなっています。

こうした、ベジェ曲線によって構築された面や立方体を、
Shadeでは『自由曲面』と呼び、その名が示すように、
自由度の高い形状作成を成し遂げるものとして、長いあいだ、
Shadeの基本となるモデリング機能を担ってきました。

○ 3DCGソフトウェア Shade 3D

ベジェ曲線は他のグラフィック系ソフトでも広く使用されており、
それらの操作に慣れた人にとっては、このShadeも、
いかにも扱いやすそうな印象を持ってしまいます。

ですが、自由曲面を使ってのモデリングは、
私が考えるところ、ベジェ曲線に慣れ親しんでいたとしても、
かなり制約があり、また、扱いにはクセがあると感じています。

なにしろ、自由曲面で作る立体は、
始点や末端で、線形状を収束させて閉じなければならないこともあり、
また、ベジェによる微妙な立体のコントロールは、
予期せぬシワを生むことになることも多いです。
こうしたシワは、いったん発生してしまうと消すのが難しく、そのために、
延々とベジェ曲線のコントロールポイントを調整しなければならない、
ということもあります。
また、穴開けのような作業も不得意で、
疑似ブーリアン演算 (実際に穴が空いていなくとも、レンダリング時に
穴が空いているように見せる方法) に頼ることも、多々あります。

もっとも、自由曲面を駆使して、
すばらしい作品やモデリングを行うかたは、数多くいらっしゃいます。
こうした方々は、まさに自由曲面マスターであり、おそらくは、
独自のノウハウやテクニックを持っていらっしゃるのだと思います。
ですが、私は、なかなかそのワザを極めることができませんでした。

いずれにしても、Shadeを開発している側でも、
自由曲面の弱点はある程度認めているようで、
そのため、近年のShadeでは、ポリゴンによるモデリング機能の強化も、
順次、計られてきました。
とくに、Shade ver12からは、インターフェイスも一新され、
ポリゴンモデリング機能も、自由曲面と同等のウエイトが置かれているかのような、
そんな印象があります。

マニュアル画面

ですが、Shade付属のマニュアルを見ても、別売の指南本などを見ても、
(Shadeの指南本は最近少なくなっていますが…)
ポリゴンモデリングの解説はあまりにも簡単で、素っ気ないものです。
少なくとも私には、まったくのチンプンカンプンです。
やはり、Shadeは自由曲面でモノを作るソフトだから、自由曲面をメインに使え、
ということなのでしょうか…。

Shade指南本でポリゴンモデリングの解説をしたら、
それこそ、Shadeというソフトの特性を否定してしまうことになるかもしれませんし、
そういうことは、ポリゴンについて解説した他の指南本を見ろ、
ということなのかもしれません。

ですが、Shadeにおけるポリゴンモデリング機能の、
実際の作例などを交えつつの詳しい解説が欲しい、と持っていらっしゃる方は、
私のほかにも、いらっしゃるんじゃないかと思います。

そんなわけで、Shadeのポリゴンモデリングの取っ掛かりとして、
私が選んだのは、Ustreamで公開されていた、ふじいたいよう先生の、
Shade講座です。
この講座は、実際にポリゴンを使って、
戦闘機を作りながら解説するという、極めて貴重で希なものです。
(私が知らないだけで、もっと有用な講座や書籍があるのかもしれませんが)

この講座は、現在では、Ustream上では閲覧できなくなっているようですが、
Shade3Dの公式サイトのなかの、Shade教室アーカイブスのなかに、
他のものも含むすべてが収録されているようです。

○ Shade教室 アーカイブス 過去の番組

ふじいたいよう先生のポリゴンモデリング講座は、過去番組3の、
テンプレートを使ったモデリング(前後編)です。

もっとも、この講座を何度も見返すのは面倒なので、
私は、好きな時に好きな箇所を見られるよう、要点をノートに書き写しました。

F1-2000(2)

こうして、最初にポリゴンを使ったモデリングをしたのが、このF1-2000です。
(今回の投稿記事のトップ画像も、このF1-2000を使っています)
いままで、自由曲面では難しかった面の再現が、ようやくできるようになりました。

MGA

そして、次に行ってみたポリゴンモデリングが、このMGAです。
もっとも、ボディの基本となるおおよその形状は、自由曲面で作っています。
線形状をコピーして別の自由曲面を作っていくという、Shadeならでは方法が、
取られています。
ですが、タイヤを収めるフェンダーアーチなど、シワのできそうなところは、
自由曲面ではあえて作り込まず、
ポリゴンに変換してから、形状を詰めていくことにしました。

ポリゴンへの変換は「粗い」を使い、サブディビジョンサーフェイスで、
なめらかにします。
おおよその形状ができたら、さらにポリゴンを細かくし、穴の空いた箇所などを、
作っていきます。

いったん形状を作っておいてから、ボンネット、ドアパネル、トランクパネル、を、
分割してしまえるところも、ポリゴンのありがたいところです。

250GTO

こちらも、同様の方法で作られた、フェラーリ250GTOです。
もっとも、こちらは、ヘッドライトにテクスチャが入っていないなど、
まだ未完成状態になっていますが…。

自由曲面によるモデリングだと、ボンネット前方に空いた三つの開口部など、
穴を開けるのに苦労しそうですが、ポリゴンだと、うまく開けられました。

ただ、この250GTOは、フジミのプラモデルのインストにある図面を、
ネットで捜してきて作った作ったのですが、図面の解像度がかなり悪く、
そのため、モデリングにも、少し曖昧なところも出てしまいました。
また、全体の形状も、よくも悪くも、プラモデルを踏襲してしまったようです。

F1-2000のときは、手もとに、
タミヤのプラモデルを資料として置いて作業でしたので、
形状を作るにあたって、不明な点などは発生しなかったのですが、
250GTOを作る時は、ネットで捜してきた図面や写真のみだったので、
形状の把握がいまひとつだったかもしれません。

もし、特定の物体を作りたいと思うなら、
プラモデルのような立体資料は、とても役にたつと思います。

10式

そしてこちらは、現在、時間をみつけては練習を兼ねて制作している、
陸上自衛隊の10式戦車です。
クルマのモデリングでは、自由曲面で基本形状を作って、途中からポリゴンに変換して、
細部を作り込む、という方法をとってきましたが、
この10式は、新たな試みとして、最初からポリゴン機能のみを使って、
モデリングしています。

こちらも、250GTOと同様、まだ制作途中なのですが、
(というより、まだ半分ほどしかできていない状態ですが)
この10式も、ネット上で見つけてきたタミヤのプラモデルの図面をもとに制作したため、
事前に、形状の把握がうまくできていない箇所が多数あり、
そのたびに、あちこちを修正しつつの作業となっています。

この修正に、多大の時間を浪費しており、
教訓として、なにかをモデリングする時は、充分な資料を揃えておくべきだと、
あらためて感じました。

戦車は平面構成なので比較的ラクにモデリングできる、などと思っていたのですが、
面構成は極めて複雑で、しかも、さまざまなパーツがあり、
実際の工業製品をキチンとモデリングするのは、とてもたいへんだと、
しみじみと感じました。
(車載機銃を作るだけでも、たいへんです)

シャックル

こちらは、10式戦車の前部に取り付けれた、牽引フックですが、
こうした形状を作るのは、ポリゴンだとたいへん手軽に作れます。
自由曲面でこの同じかたちを作ろうと思うと、たいへんだと思うのですが、
ポリゴンであれば、比較的簡単にモデリングできます。
そのさい、威力を発揮するのは、稜線ループスライス機能です。

もっとも、総じて、ポリゴンだから早くモデリングできるということはなく、
自由曲面によるモデリングよりも、結果的には時間がかかっているのかもしれません。
ただ、シワ取りのために延々と時間を費やすことはなく、
それだけでも、かなり気持ち的には負担がなくなります。

ただ、他ソフトのほうが、ポリゴンの扱いやすさは格段にうえになるとのことで、
Shadeでいちからポリゴンで作るのは、あまりよい方法とはいえないとも思います。

MGA俯瞰図

というわけで、いろいろと勝手な思いを書いてきましたが、
自由曲面にも、ポリゴンにはないすぐれたところもあります。
モノによっては、自由曲面のほうがスピーディーに、また、
図面にぴったりと合わせた曲面モデリングが可能です。

ただ、Shadeの自由曲面は、これ以上新たな機能がつくことはなさそうですし、
いずれにしても、ポリゴンモデリングの習得は不可欠かもしれません。

もっとも、私はイラストレーターですので、モデリングすることが最終目的ではなく、
そこからさらに、さまざまに画像に手を加えて、2D作品にすることを、
目指す到達点にしています。

モデリングもさることながら、自分の求めるイメージを生み出すための、
よりよい画像処理の技術も必要となってきます。

学ばなければならないことは、今後も、たくさんありそうです。
(掲載のイラスト画像はすべて著作権があります。無断使用はご遠慮ください)




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屋外展示物

ここ最近、防衛関係のイラスト (雑誌挿絵) を描かせていただく機会があるのですが、
そうした装備や機器について、私はあまり詳しくはなく、
(戦車などの地上装備については、ある程度の知識はあるつもりですが…)
一度、それらを間近で見学ができないかと、かねてから思っていました。
折しも、先週、所用のため、出かけることとなったため、
その後、そのまま少し足を伸ばして、
浜名湖にある航空自衛隊の広報施設にまで行ってみました。

私の住む街からみれば、浜名湖周辺ははるか南、ということで、
さぞかし暖かいだろうと思っていたのですが、実際に行ってみると、
とても風が強く、気温こそ低くはないものの、
体感温度は耐え難いほど寒いものでした。
ただ、すっきりとした晴天で、クルマのなかにいれば、
照りつける陽の暖かさを感じることができました。

浜名湖畔の航空自衛隊広報施設は「エアーパーク」といい、
基地の一角に設けられている、という感じです。
地図上で見る浜松基地は、敷地も広く、規模も大きいため、
容易に辿り着けるものと思っていましたが、
おもいのほか道に迷ってしまいました。

エアパーク全景

こちらがそのエアパークです。とても立派で新しい施設です。
手前の展示棟の奥には、格納庫棟もあり、どちらも見学が可能です。

エントランス部分の展示物

玄関先には、F86Fセイバーが、
飛行状態をイメージしたスタンドに取り付けられるかたちで展示してあります。
このカラーリングは、ブルーインパルするのものでしょうか…。

ロッキードF104

同様に、ロッキードF104スターファイターも屋外展示されていました。
こちらも、セイバー同様、いまとなってはもはや前時代の戦闘機ですが、
それでも、直線的なフォルムには、洗練された美しさを感じます。

機体の注意書き

期待表面には注意書きなどがビッシリ書かれていて、
これがまた、メカ感を高めているように思います。
これらの注意書きは、日本語、英語、それぞれの言語で記されていました。
メンテナンスが行き届いているのか、このF104は、
屋外展示の割には、機体はとてもきれいでした。

そしていよいよ館内へ。
この施設は、これだけの規模がありながら、すべて無料で見学できます。
というわけで、さっそく館内を見て回りたいところですが、
時刻はちょうどお昼ということで、まずは館内の喫茶店で、
簡単に昼食をとることにしました。

喫茶Fuji

館内の3階には、Fujiという小さな喫茶店があり、自衛隊ならではと思われる、
海軍カレー、撃カレー、といったメニューがありました。
今回は撃カレーをチョイスしてみましたが、名前とは違い、
昭和レトロな雰囲気の、やさしいカレーでした。
(名前から察するにスパイシーな味のかと思いましたが、
 そうではありませんでした)

店内からは滑走路を見渡すことができ、
また、はるか東には、富士山の姿も臨むことができました。
好天のため、すばらしい景観を楽しむことができました。

心神模型

その後、ふたたび一階に戻り、順に見学していきます。
こちらは、国産を目指している次世代戦闘機の模型です。
風洞実験用のものなのか、ディティールやカラーリングは省いてありますが、
そのフォルムは、まさに未来的で、とてもカッコいいですネ。

XF-2モックアップ

こちらは、後にF-2として量産/配備される、FX-2のモックアップのようです。
航空機の知識が乏しい私には、F16以外の何者にも見えません。
私の記憶が正しければ、もともとF-2は、開発当初はFS-Xといい、
純国産での研究開発を念頭に、計画が進んでいたのではないかと思います。
しかし、アメリカからの強力な圧力によって、国産ではなく、
共同開発というかたちになってしまい、しかも、できあがった機体は、
F16そっくりになってしまった、という趣旨の話を聞いています。

このF-2は、日本にとっても自衛隊にとっても、
さまざまな意味で、忘れられない機体なのかもしれません。

F1支援戦闘機実機

こちらはF-1支援戦闘機の実物です。
各部のパネルが開かれていて、内部の構造を見学することができます。
機体表面やエンジンのディティールは興味深かったです。

また、エンジンのみのカットモデル展示もありました。

ラインメタル製対空機関砲

2階には地上設置型の対空機関砲の展示がありました。
こちらはラインメタル製とのことで、
砲の制御はジョイスティックのようなレバーで行うようになっているようでした。
ただ、移動はたいへんそうですし、砲手を守る装甲もありません。
車輛に設置して砲塔を作ってしてしまえばいいのに、などと、
勝手なことを考えてしまいました。
(そうすると、きっとM42ダスターみたいな格好になりそうです)

簡易フライトシミュレーター

3階には簡易フライトシミュレーターがあり、
ちょうどそのうちのひとつが空いていたので試してみましたが、
操縦法がよくわからず、墜落させてしまいました。
どうやら私は、パイロットにはなれないようです。

広大な格納庫

ふたたび2階に戻り、今度は、展示格納庫へと向かってみます。
格納庫というだけあってさすがに広く、さまざまな機体が展示してあります。
零戦といった旧海軍機や、第一次大戦時に使用された複葉機の展示もありましたが、
メインの展示は、航空自衛隊機となっています。

コクピットに搭乗

しかも、いくつかの機体のコクピットには、実際に座ってみることができます。
これには感激。
さっそく、そのうちのひとつであるF1支援戦闘機、
そしてロッキードF104に乗ってみます。

どちらもスリムな機体ですので、コクピットも細く狭い感じで、
なんだか、穴に入るような感じです。
ですが、いったん座ってしまえば、それほど窮屈な感じはなかったです。

計器盤

計器がびっしりと並ぶコクピット内部です。
ちょっとアナログな感じですが、メカ感たっぷりで、なんだか、
気分も高揚してきます。

パイロット気分

また、機体名はわからないのですが、複座の戦闘機があり、
(F1支援戦闘機の複座型でしょうか…)
こちらにも、乗ってみました。
そんなわけで、館内の案内をしていた職員の方に、写真を撮ってもらいました。

カーチス

屋外にもいろいろな展示があります。
こちらは、カーチスC46輸送機ですね。
記憶が曖昧ですが、この機体は、松本零士氏のマンガ「砂とスコッチ」に、
登場していたように思います。
(勘違いだったらすみません)
それにしても、思いのほか大きいですね。

こうして、施設内をくまなく回って見学してきました。
航空機の機体表面のディティールや、各種の注意書き、など、
とても参考になりました。
また、スクランブル発進や侵入機感知のシステム図など、
今後の資料になりそうなものも、しっかりと見学できました。

今後のお仕事に、役立てられそうです。

○ 航空自衛隊広報私設『エアーパーク』

というわけで、エアーパークは、
飛行機に興味のない方でも、家族連れでも、楽しめる施設だと思います。
浜名湖周辺のオススメスポットです。




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