筋骨を行く

今回は、前回アップした飛騨金山の小径『筋骨』をめぐる旅の後編です。
すぐにでも後編をアップするつもりで、準備を進めていたのですが、
ズボラな性格が災いして、気がつけば、ちょっと時間が開いてしまいました。
(よろしければ、ひとつまえの前編からご覧いただけるとうれしいです)

さてさて、飛騨金山町の街中に伸びる、筋骨のメイン地区は、まだまだ続きます。
続いて現れたのは、用水路の上に渡された、木製の渡り廊下です。
こちらも、周辺にある他の建物と同じように、古びた木質のテクスチャがとても印象的で、
なんともいえない味わいと、ノスタルジー感があります。

私が子供の頃、実家のある飛騨高山には、こうした建物がまだ多く残っていました。
ですので、こうした木造の家屋や渡り廊下を見ていると、つい、
子供の頃のことを、さまざまに思い出してしまいます。
(っていうか、歳をとったなあ、などと思ってしまいます)

折しも、ちょうどここに、マニアの若い方がいらっしゃって、
とても熱心に写真撮影していました。
若い方が見ると、きっと胸に抱く感情も違うのでしょうね。

昭和な渡り廊下

こちらが、その渡り廊下の全景です。
それにしても、これって、民家のものなのでしょうか……。
こうして、この渡り廊下をくぐって、先へと進みます。

さらに奥へと続く

すると、目の前には、またして、用水路のうえに張り出した建物の脇をかすめ通る、
トンネル状の道がでてきます。
石垣の壁から突き出た雨水を用水路に流すプラスチック製の土管は、
まだかなり新しく、さまざまな時代のものが混在している感じです。
同時に、この場所が、いまも生きている生活空間であることがわかります。

生活感が感じられる

こちらは、いったんトンネル状の道に入り、後ろを振り返ってみたところです。
プロパンガスのボンベが置いてあったりと、もう、生活感たっぷりです。
それにしても、ここにボンベを運んでくるのって、かなりたいへんな気がしますが……。
実際にお住いの方や業者の方の苦労がしのばれます。

地上への出口

そのあと、このエリアを抜け、いったん地上に出ます。
(といっても、地下にいたわけではないんですけどね)

この抜け道の両脇にある建物の窓が、通路に向かって出窓のように張り出しています。
わずかなスペースを貪欲に利用するような感じがあって、それがまた、
空間にカオス感のようなものを漂わせているように思います。
無秩序の秩序みたいなものがあって、歩いているとあちこち見入ってしまいます。

曲がりくねる町の道

道に出ても、車一台がやっと通れるほどの幅しかありません。
しかも、曲がりくねっていて、微妙な勾配もある……。
見通しがききそうできかないところに、なんともいえない風情があります。

洗濯場

近くの洗濯場にも寄ってみました。
ここは、現在も使われているようで、使用するさいの細かな注意書きがありました。
ほかにも、各所に、同様の洗濯場があり、
このあたりは、水に恵まれた地域なのだということがわかります。

きれいな筋骨

こうしてさらに、また別の筋骨へと入り込みます。
しかしここは、さきほどのようなカオス感はなく、
すごく整理されてきれいになっていました。
建物も新しく、なにもかもが秩序立っている感じです。
筋骨も場所によって、さまざまに表情が変わるわけですが、
個人的には、ゴチャゴチャ感が楽しくて好きですね。

馬瀬川

そして、道を抜けると、川沿いに出ます。
水がほんとうにきれいで、すばらしい景観です。
ガイドマップによると、川のこのあたりは馬瀬川と飛騨川の合流地点だそうです。
目の前にある中洲のようなところは、境橋公園という公園だそうです。
とくになにもない公園のように見えますが、
せっかくここまできたので、橋を渡って公園まで行ってみることにしました。
(すぐ近くには、対岸に渡るための境橋という橋がありました)

両面宿儺像

橋をわたりきった地点に、両面宿儺の像がありました。
呪術廻戦で有名になった両面宿儺ですが、飛騨地方では古くから知られています。
ちなみに、このあたりは、伊能忠敬が飛騨測量を開始した地点だともいわれているそうです。

パワースポット

近くには、パワースポットのけやきもありました。
思わず、両手で触ってきました。

河原の公園におりて

こうして、公園まで降りて行くと、すぐ近くに川の合流点を見ることができました。
その後は、ふたたび境橋を渡って元の道に戻り、
今度は金山橋という橋を渡って、ふたたび対岸側へと行きます。

発電所

こちらには、発電所の水門などがありました。
この発電所の脇を通る形で、次の筋骨が始まります。
ところが、またしても道に迷ってしまい、今度はうまく正解が見つけられませんでした。
しかも、人の家の裏口に出てしまったりと、あちこち無駄に歩き回ってしまいました。

飛騨金山駅

……と、まあ、いろいろと紆余曲折はありましたが、無事に金山駅までやってきました。
ガイドマップに書いてあるコースによると、
ここがゴール(あるいはスタート地点)になっています。
いかにも田舎駅って感じですね。

こうして、また来た道を引き返して、MINIを止めたドライブイン飛山まで帰ります。

もちろん、筋骨を無視して、大通りを通ればすぐに帰れるのですが、
それもまたもったいないので、もう一度、メインの筋骨に入り込んでみます。

道を逆に辿る

一度通った道ではあるのですが、逆に辿ることで、また新たな発見があったりします。
こういう逆廻りも、また楽しいものですね。

MINIまで戻る

こうして巡ること、およそ二時間弱。
無事、ゴールの出発地点に戻ってきました。
けっこう歩いた気がしましたが、それでも、このくらいの時間で、
ほぼ、ガイドマップにある筋骨を辿ることはできます。
ただ、大船戸の渡しなどに行ったりすると、もっと所要時間はかかるかと思います。

金山町は、いつも車で通りがかる町なのですが、いままで、
立ち寄ったことは、ほとんどありませんでした。
ですが、今回の筋骨めぐりは、もう、とにかく楽しくて、大満足でした。
機会があれば、また、ぜひ、筋骨めぐりをしてみたいものです。

そして、帰ってきてから気がついたのですが、ガイドマップにあった、
銭湯がある道に行くのを忘れていました。
金山を通る機会は、これからもかなりあるはずですので、
次回、この銭湯を見に行ければなと思っています。


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筋骨のランドマーク

ここ中部地方で放送されている深夜ローカル番組のなかに
道路だけにスポットをあてた『道との遭遇』という、ニッチなバラエティ番組があります。
その番組のなかで、岐阜県下呂市金山町の街中にある、複雑な小径の特集をやっていました。
密集する家々のあいだを縫うよに伸びるこの狭く細い生活道路は、
まるで人間の骨や筋肉のように複雑に絡み合っているという理由から、
筋骨、と呼ばれいるそうです。
テレビで取り上げられて以降、町でもこの魅力的な『筋骨』を積極的にPRしようと、
観光ガイドマップなどを作っているようです。
おそらく、今後は金山町の新たな観光資源となりそうです。

番組を見たところ、この小径、単に細く複雑というだけでなく、
周辺に雑然と立ち並ぶ、古い家々もまた魅力的なのです。
なかには、その複雑さから、ハウルの動く城、などと称される家もあり、
周辺の景観と相まって、まさにカオスといった雰囲気を醸し出しています。

というわけで、私も、この筋骨めぐりをしてみたいとかねてから思っていたのですが、
絶好の好天に恵まれた先週の日曜、
満を持して、ヨメと一緒に、MINIで、金山町へと行ってみることにしました。

好天の中、到着

岐阜県は、大別して、北の飛騨地方と、南の美濃地方のふたつに分かれていますが、
岐阜県下呂市金山町は、この飛騨地方の南端に位置し、
飛騨への入り口的な場所にあります。
今回は、MINIで片道およそ二時間くらいのドライブになりました。

ミニで金山へ

久しぶりのMINIのドライブでしたが、快調に走ってくれました。
やっぱり、青空の下のドライブは楽しいですね。

ちなみに、金山町観光協会が出している、
散策ガイドマップ (観光協会サイトでPDFとして公開されています) によると、
駐車場は、ドライブイン飛山を利用するよう案内されています。
というわけで、まずは飛山の駐車場に、MINIを入れます。
それほど混んでいるわけではありませんでしたので、駐車は楽にできました。

○ 筋骨ガイドマップはコチラへ / ~ 金山町観光情報サイト ~

その後、紙のガイドマップをドライブインの売店でもらい、
いよいよここから、いよいよ筋骨めぐりスタートです。

なお、ドライブインでは、有料の筋骨めぐりガイドをお願いできるそうです。
より深く筋骨の魅了をお知りになりたい方は、
ガイドをお願いしてみるのもいいかもしれませんね。

まず、国道41号を渡って東に進みます。
ところが、さっそく道を間違えてしまいました。
イラスト付きのガイドマップに従っていても、道の間違いはかなりしてしまいそうなので、
そのあたりは注意が必要です。

筋骨へ進入

そして発見した正しいルートがコレです。
車両通行不可。まさに人しか通れない道ですが、こういう道は、なんだかわくわくします。
子供の頃は、よくこういう道を駆け抜けていましたっけ。

が、またしてもルート間違いをしてしまいました。
しかも、道に迷ったのは私たち夫婦だけではなく、
同じように筋骨めぐりにきていたカップルも間違えていました。
お互いに「この道、違うみたいですよ」などと、
情報交換をしながら、正しいルートを探します。

見物客もちらほら

なにしろ道が細いので、「これ、道?」と、思ってしまい、
ついつい見逃してしまうんですよね。
間違って、家々の庭先に入ってしまうこともしばしばです。

ガイドマップ

そんなときは、また改めてガイドマップをチェックします。
とはいえ、実際の筋骨には、看板や進路を示す標識はないので、
頭のなかでいろいろとシュミレートする必要がありそうです。

手汲み式井戸

道のところどころには、こうしたレトロな水汲み場などもあります。
手動式の水汲み機がかっこいいですね。
もちろん、実際に水が出ます。

山道を登る

そのあとは、ガイドマップに従って、鎮守山というところに寄って見ます。
こちらは筋骨とは直接の関係はないようですが、せっかくの機会ですので、
足を運んでみることにしました。
ちょっと小高い山の上にある感じで、緑が生い茂る坂道を登っていきます。

両面宿儺像

ここには両面宿儺のオブジェが建っています。
折しも、ここにちょうど子供が二人いたのですが、
私たちの姿を見ると、どういうわけか、碑文の後ろに隠れてしまいました。
神聖な秘密の遊び場を大人に汚されたみたいな気持ちだったのでしょうか。
ちょうど、その子達の頭が、碑文のうしろに二つ出ています。

ふたたびの筋骨

下山して、ふたたび街に戻り、いよいよ筋骨の本命ともいうべき、
街中の細い道へと入り込みます。
もう、この入り口付近の景観から、ワクワク感が異様に高まってきます。

家々の間を抜けて

びっしりと隙間なく建つ家と、水路、その上に架けられた橋、
ポツンとある空き地……。
いい感じになってきましたね。
このごちゃごちゃ感も、いいですね。

頭上には橋が

すぐ上には、古いコンクリート製の橋が渡されています。
このコンクリートのテクスチャがかっこいい。
もうなんともいえない雰囲気ですね。

川の上に家が

用水路の上に建物が張り出して建てられています。
建築は昭和風という感じですが、いまでも人が住んでいらっしゃるのかもしれません。
一見すると、あれっ、ここで行き止まりか、と思ってしますかと思いいますが、
この建物の下、というか、建物と建物の間の隙間、川沿いに道はちゃんとあります。
この写真でいうと、ほぼ真正面です。

ほとんどトンネル

入っていくと、こんな感じ。もう、まさにカオスです。
なにしろ建物は用水路の上に建っていますから、湿気がかなりあるのでしょう。
張り出した床板の一部がたわんでしまっています。

ワクワク感が止まらない

さらに進むんでいくと、光はどんどん遮られ、もうトンネル状態です。
すぐ脇には洗濯場もありました。
水路を流れる水は選択ができるほどきれいなのです。

ハウルの動く城

そして現れるのが、この、ハウルの動く城、と呼ばれる建物です。
川の上に建ちながら、しかも、上の階にいくに従って外に張り出しています。
しかも、なんと4階建……。高層住宅といっていいでしょう。

この頭でっかちな感じが、ハウルの動く城と呼ばれる所以でしょう。
古びた外板のトタン、木製の窓枠、なのにBSのアンテナがあるなど、
もう、すごい雰囲気!!。まさにレトロカオス昭和。
一見の価値があります。

筋骨は続く

さらに奥の建物も、用水路のうえに張り出して増築されています。
またしても、建物の隙間をすり抜けていく感じですね。
ああ、チョー楽しい!。

カオスな建築

……とその前に。
右に目を転じると、これまたレトロな建物が。
朽ちた木材の壁板の感じがなんともいえない風合いを出しています。
このごちゃごちゃ感は、見ごたえたっぷりです。

さて、まだまだ筋骨は続くのですが、
ここまでで、すでにかなり長い記事になってしまいましたので、
残りは、次回にまた紹介したいと思います。

次もまた、多くの画像とともに、筋骨の魅力を紹介したいと思います。


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