ダム内通路

さて、少し間が空いてしまいましたが、前回の横山ダム見学の続きです。
発電所の見学を終えたあとは、いよいよ、ダム内部の自由見学をすることにしました。
ふたたび、ダムの内部に入り、ファンタジーホールの受付を通って、
進路の指示に従い、通路を進みます。
もっとも、広大で複雑なダムの内部には、トイレの設備はありませんので、
外に設置されたトイレで、用を足しておく必要があります。

ほどなくすると、ファンタジーホールと同様の、巨大な空洞に出ます。
内部に空洞を持つ「中空重力式コンクリートダム」は、全国でも珍しいと言います。
なぜ、このような形式になったかというと、かつてはコンクリートが高価で、
しかも、その輸送にもコストがかかるため、使用するコンクリートを少なくする意味で、
こうした中空方式がとられたそうです。

なにしろ空洞ですから、音がよく響きます。
そのため、ファンタジーホールや、各空洞の通路などに、
ハンドベルが置いてあったりします。
手にとって鳴らしてみると、たしかに、よく響きます。

ただ前回も書いたように、内部の湿気はかなりのものです。
ライトアップされている照明器具の周辺では、空中を舞う細かなミストの粒が見られます。

高い天井

天井もとても高く、何メートルあるのか見当もつきません。
とくにこうして写真になってしまうと、比べるものがなにもないため、
スケール感がよくわからなくなってしまうかもしれませんね。
なにしろ、窓も何もありませんから……。

上部の渡り廊下

ただ、ところどころ、こうして上部にある渡り廊下状の通路が見えますので、
それで、スケール感がわかっていただけるかもしれません。
実写版宇宙戦艦ヤマトの撮影では、
この空洞を、地下のヤマト建造工場にしました。
ただ、ヤマトが入るには、ちょっと狭いと思いますが……。
(たしか、映画では、CGも駆使して、もっと広大な空間にしていたように思います)

こうして、さらにトンネルに入り、次の空洞空間へと入るという感じになります。
これらトンネルの内側には、石灰質の白い結晶が浮き出ていました。

エレベーター部

そして、エレベーターが設置された場所に到着。
エレベーターはローテーションが決まっていますので、
自分の好きな階に行くことはできません。
次は地下の最下層に行きます。

空洞の底部分

最下層はもう、ぐっと気温が落ちます。
肌寒いくらいですが、なにしろ暑い日でしたので、このひんやり感は心地よかったです。
通路は途中で柵によって仕切られ、見学できる箇所はごく限られた箇所になっていますが、
それでも、充分、各所を見て回ることができます。
ただ、空洞そのものは、どこも似たようなもので、大きな変化はありませんでした。

グリフィスゲート

ふたたびエレベーターに戻り、その次は上部の地下二階へと向かいます。
ここからまた、一気に気温があがります。
この階からは、グリフィスゲートという水門の構造物を見ることができました。
ダム内のコンクリートは、かなり年月を経過したもののように見えますが、
このゲートは、錆や痛み、汚れなどもなく、かなり新しいように見受けられました。
ゲートの上部には、巨大な油圧シリンダー装置らしきものがありました。

ダム湖の光景

そして最後は、ダムの上部へと上がります。
ここからはダム湖が一望のもとに見えました。
といっても、ダム湖はさして大きいものではありません。
また、溜められている水の量も、けっこう少ないように見受けられましたが……。

発電施設を臨む

こちらは下流の発電所側です。
ついさきほど、内部を見学させてもらった、あの発電所ですね。
あたりが深い山の中だということが、よくわかっていただけるショットかと思います。
木々の緑が青々としていて、とても自然豊かなところです。

このあと、ふたたびファンタジーホールに戻り、
ヘルメットや番号札の返却を行い、アンケートに記入してきました。
帰りには、ダムのパンフレットや、ダムカードのおみやげなどもありました。

スタッフの方々もとても親切で、おかげでとても有意義な時間を過ごすことができました。

来月には上流の徳山ダムでも見学会が催されるとのことです。
もっとも、すでに見学の定員に達してしまっているとのことらしですが、
飛び込みで行っても、自由見学のエリアは見学できそうです。
こちらにも、もし時間があれば、足を運んでみたいと思っています。


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ダムを間近に見て

先週の土曜、揖斐川水系にある『横山ダム』というところで、
年に一度の見学会が開かれました。
このダムは中空重力式コンクリートダムといい、
内部に大きな空洞を持つ非常に珍しい構造をしており、
キムタク主演の宇宙戦艦ヤマト実写版のロケでも使用されたと言います。
今回の見学会では、予約制で発電所施設の見学会も行われるとのことでしたので、
さっそく事前予約し、当日、見学に行ってきました。

横山ダムは、岐阜県の西端、揖斐郡揖斐川町というところにあり、
私の故郷の飛騨ほどではないにしろ、けっこうな山の中です。
このダムの上流には、多目的ダムとしては日本一の規模を誇る「徳山ダム」もあり、
まさに、著名なダムが点在するダム銀座とでもいうべき状態になっています。

この日は絶好の好天となり、ダムの内部を見学するにはもったいないほどでしたが、
山道を走るのは、なかなかに気持ちよく、
さほどの遠距離ではないのですが、とてもいいドライブになったように思います。
(今回の出動者はヨメのプジョーです)

駐車場

現地横山ダムでは、この日、臨時の駐車場やトイレをしつらえ、
また、国道には案内の人員を配置しておくなど、
見学者の利便性にかなり配慮しているようでした。

しかも、予想通りというべきなのか、けっこうな人出です。
私がこの見学会を知ったのは、岐阜県図書館にあった告知用のプリントなのですが、
さほど大きな告知活動をしていたとは思えません。
それでも、これだけの集客があるということは、ダムに興味を持っていらっしゃる方が、
多いということかもしれません。

横山ダム外観

こちらが駐車場(下流側)から見た横山ダムの全景です。
上流の徳山ダムと比べれば、半分ほどの規模になってしまいますが、
それでも、巨大な建造物です。

横山ダム入り口

というわけで、まずはダムに入って受付を済ませることにします。
今回の見学会では、事前予約がなければ発電所の見学をすることはできませんが、
仮に予約をしていなくても、ダムの内部は自由に見学ができます。
ダムの内部はとても広大ですので、これだけでも、
充分すぎるほどの見学ができると思います。

ファンタジーホール

入り口の通路を抜けると、ファンタジーホールと称される第一の空洞に出ます。
横幅はさほどではありませんが、天井がとても高く、
なんとも不思議な、非現実的な空間です。
しかも、外は炎天下なのに、ここはひんやりとしています。
もっとも、かなり湿気が多く、空洞の壁面に結露がつくようで、
ときどき、水滴が落ちてきたりしました。
ここが受付のホールとなっていました。

パネル展示の数々

受付ホールにはさまざまなパネル展示も行われています。
ここで受付番号のカードと、ヘルメットを貸与されました。
以後、ダムの内部は常にこのヘルメットをつけて散策することとなります。

発電所の見学は、午後一時半からの予定となっていました。
ですが、このとき時刻は12時40分。
まだ時間があるので、とりあえず、ダムの内部をいろいろ散策して見ることにしました。
というわけで、奥に進んでみます。

通路を進む

コンクリートの通路に階段。
普段は見ることのない、特殊な施設にやってきたという気持ちが、
ふたたび心のうちに込み上げてきます。

恐怖の階段

が、行き着いた先は極端に急な階段。しかもかなり長そうです。
これを上るのか……、と思わず絶句してしまいます。
ヨメはこの階段を見てギブアップしてしまいました。

順路に沿って進む

というわけで、私一人だけで果敢に階段を登ります。
順路という矢印が出ていますし、入ってはいけないところはきちんと柵がしてあるので、
迷うことはありません。
それにしても、湿気が多く、床は濡れています。

そしてさらに進むとまたしても急な階段が……。
高所恐怖症の私にはダム見学はハードルが高いのかもしれません。
それでもなんとか階段を登りきると、なんだかごく普通の家庭にあるよう、
レバー状のドアノブがある扉に行き当たります。
が、ドアには鍵がかかっていて開きません。
すぐ横にスチール製のドアがあるのですが、こちらも、わずかに動くだけで、
開く気配がありません。
結局、ここで行き止まりのようです。

えっ、これって、どういうこと、と思いつつも、仕方なく引き返します。
途中、やってきた見学者の人とすれ違いましたが、その人も、
ドアが開かないことに気づいて、私と同様、引き返してきていました。
「ドア、閉まってましたよね」言葉を交わしつつ、互いに今来た道を戻ります。
すると、ギブアップしたはずのヨメが、階段を登ってきました。
この先は行き止まりだと告げて、嫁とふたり、階段を降りることに。
ですが、これがかなりの恐怖。
足を踏み外したら大怪我しそうですし、この場所では、
怪我人を運び出すのもたいへんそうです。

そんなわけで受付のあるホールまで戻ってきたのですが、
そこではじめて、別の進路があることに気づきました。
どうやら私は、進路を間違ったようです。

というわけで正規の進路に戻り、見学を続けようかと思いましたが、
ダム内の巡るエレベーターは、止まる階の順番などがあらかじめ決められており、
一度エレベーターに乗ってダム内の見学を始めてしまうと、
発電所見学の集合時間に間に合わなく恐れがあります。
というわけで、とりあえず、ダム内見学はあきらめ、
発電所見学を優先させることにしました。

発電所施設へ

そして定刻の1時半になると、職員の方が、20名の見学希望者を連れて、
発電所へと移動します。
ここで中部電力の職員の方にバトンタッチし、詳しい解説をしていただくこととなりました。

二機の発電機

この横山ダムには二機の発電機が設置されています。
発電機が据え付けられたのは、いまからおよそ60年前だそうです。
オーバーホールは何度かしているそうですが、
基本的に、発電機の交換自体はしていないそうです。
発電機というのは、とても長持ちするもののようですね。

扉の奥へ

発電機の最下層には小さな扉があるのですが、ここから、
タービンを見学させてもらえることになりました。
といっても、20人はとても入れませんので、交代で内部に入ります。

タービン装置

これがその内部の構造部です。
このしたに、タービンの本体があり、水流の力によって回転し、
上部にある発電機へと繋がる軸を回転させてます。
この発電機は縦置き構造となっています。
機械の構造としては、横置きにするより縦置きにしたほうが、はるかに都合が良さそうです。

軸部分

この軸の上が発電機になるそうです。
軸のフランジの下端には、とてつもない巨大ボルトが入っていました。
発電機やタービンのオーバーホールは、施設の上部にある、
150トンクレーンで釣り上げるのだそうです。
ちょうど案内の方の手が写っているので、この物体のスケール感がわかるかと思います。

こうして、およそ30分ほどをかけて、発電所内部を見学させていただきました。
中部電力のスタッフのみなさま、ありがとうございました。

このあとは、いよいよダム見学へと移りますが、
その時の模様は、また次回、ご紹介したいと思います。



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