アリス館からの眺め

季節外れの台風のせいで、ときならぬ涼しさに見舞われることもありましたが、
ここ飛騨高山にも、どうやら、本格的な夏が到来したようです。
毎日、窓の外からは、ひっきりなしに蝉の声が響いてきます。

さて、そんな夏の日曜(正確には先々週の日曜ですが)、
修理(ドライブシャフトブーツ交換)後のMINIで、立山まで出掛けてみました。
いわばちょっとしたテストドライブだったのですが、折しもこの日は猛暑。
富山市までは順調にドライブしていたものの、そこから立山に向かう道は、
坂道の連続となり、こうなると、さすがに、電動ファンのない私のMINIは、
泣きが入ることとなります。

なにしろ、真夏の炎天下のなか、
セカンド、サードギア、で、延々と走行するわけですから、
ヒーターをかけっぱなしにしても、水温計の針はジリジリと上がり、
すぐに真ん中まで上がってきます。

まあ、真ん中で留まっていてくれれば、なにも問題はないのですが、
坂道を進むにつれ、しだいに真ん中よりほんのちょっと上のあたりを指すように…。
こうなると、もう坂を昇らせるのは危ないかな、という気持ちにもなります。
というわけで、立山黒部アルペンルートの入口のあたりで、引き返すことに…。
道を下れば水温計も下がります。
が、このときの暑さが応えたため、夏場でのMINIのドライブは、
ちょっとキツいかな、ということになりました。
ですので、昨日の日曜(24日)は、ヨメのクルマで出掛けることとなりました。

この日も、前の週同様、向かったのは北陸方面。
ですが、立山には行かず、能登方面へと向かってみることにしました。
まず、富山市に入り、そこから氷見市へ。
次いで能登半島を横断して、石川県の羽咋市へと入りました。

奥能登の道

富山市のあたりでは、どんよりと雲が垂れ込めるあいにくの空模様でしたが、
能登半島を横断すると、雲はしだいになくなり、やがては快晴に。
北陸といえども、地域によって天候はかなり違うようです。

今回は、能登半島の西側を、海を見ながらドライブしつつ、
北陸電力の原子力関連施設に行ってみようと思っていました。
能登半島中央西側にある志賀町には、志賀原発があり、
その近隣には、原発をPRする、
能登原子力センターと、アリス館志賀という施設があります。

原発事故のニュースを見ない日がない昨今、
原子力の安全性を謳い上げているのであろうこれらの施設は、
この時期、ともすれば閉館を余儀なくされているのではないか…。
ヨメはそんな懸念をもっていたようですが、それぞれの施設のサイトを見ても、
閉館の告知などまったくなく、どうやら、きちんと開館しているようです。

原子力PRセンター

というわけで現地に到着。
こちらが能登原子力センターです。
この時期ですから、ある程度、見学者が来ているものと思っていましたが、
実際には、駐車場にはクルマの数もまばら。
また、センター自体も、殺風景というか、なんとも活気のない佇まいです。
実際、最初は閉まっているのかな、と、思ったほどです。

PRセンター内

が、建物の内部はことのほか明るく、清潔で、冷房も効いていました。

室内の展示パネルなどには、かわいいキャラクターなどが用いられ、
親しみやすさとわかりやすさを心掛けた説明がなされています。
が、その内容はかなり高度で、子供どころか、
場合によっては大人でさえすべてを理解するのは困難かと思われます。

と、いいつつも、イラストや図版、模型を駆使した説明は、
多岐に渡ってなされており、非常に興味深いです。

こうした展示パネルと、ゲーム性の高い展示アトラクションは
ミスマッチというか、なんともギャップの激しさを感じてしまいます。
なかには、中性子がウラン原子核に衝突し、
核分裂が促進されるさまを、モグラたたきゲームにしたものまでありました。
この遊びをしながら、素粒子についての知識が深まるかどうかは、
はなはだ疑問なのですが…。

格納容器模型

こちらは、原子炉圧力容器内の精密な模型です。
いままで何度も何度もテレビで図を見せられてきましたが、
こうした立体物を間近で見ると「こうなっているのか」と、
妙に納得したりもします。
現在、福島第一原発では、この圧力容器に穴が空き、
その外側の格納容器にも穴が空き、
外部に燃料が漏れているのだな、と、あらためて思い知らされます。

原子炉カットモデル

こちらは原子炉を含むタービン室などの模型です。
これを見ると、原子炉がいかに巨大なものなのかがよくわかります。

このほかにも、原発の中では、危険な濃縮ウラン燃料が、
いかに安全に隔離、格納されているかを学ぶためのアトラクションもありました。
このアトラクションは、五つの円筒を、マトリョーシカのように、
燃料の模型に被せていくというものです。
厳重とされた隔壁がいとも簡単に破られ、放射性物質が拡散してしまったいま、
この展示物には白々しささえ感じてしまいました。

今回は、時間の関係で、一階の展示物のみを見学しましたが、
パネルも、展示物も、すべて福島原発事故前のもので、事故後に追加されたパネルは、
私が見た限り、発見できませんでした。
(二階にはあったのかもしれませんが)

原発の安全性を訴えるべき施設であるならば、
事故についての展示なども積極的に行うべきではないかと思いましたが、
それらについては、どうやら、そうした展示を行う意思はなさそうでした。
もし、原発が安全だというなら、この施設で、まっさきに、
活用すべきではないのか、と、思ったのですが…。

アリス館志賀

次いで立ち寄ったのが、志賀原発のPR施設「アリス館志賀」です。
こちらの施設には多数のクルマが注射しており、
なんと、交通整理も出ているほどです。
家族連れが多数訪れているようで、あたりには子供の声があふれ、
能登原子力センターにはなかった活気があふれています。
ドーム型の施設はとても立派で、しかも、周囲には広い公園もあり、
自然も豊かです。

アリス館内部

こちらの施設は、不思議の国の「アリス」が、原発について解説する、
といったコンセプトのもとに作られており、
能登原子力センターよりも、ずっと遊戯施設色が強くなっています。
物理学や原子炉の技術的な説明を記したパネルは少なく、そして目立たず、
ちょっとがっかりさせられました。

制御室

展示物の中には、原発の中央制御室の実物大模型がありました。
一見、近代的なものに見えますが、近づいてみると、押しボタンも、
トグルスイッチも、いかにも古びていて、昔のSF映画のセットのようです。

このアリス館は、年少者向けの展示、遊戯施設、でありながら、
地域のコミュニティセンターともなっているようでした。
そのため、原発の構造や技術について知りたいと思う見学者は、
いささか拍子抜けするかもしれません。
ですが、ここでは、
原発事故後に、志賀原発がとった安全対策、
及び今後とるべき安全対策などの告知がなされていて、
少なくとも、地域住民の不安を取り除こうという意思は汲み取れます。

また、こちらを訪れた人には、もれなく、すぐ近くにある、
花のミュージアム「フローリィ」という施設の無料入場圏が進呈されます。
通常、フローリィの入場には500円がかかるとのことですから、
ありがたいサービスなのですが…。

このアリス館があるあたりは、赤住といい、
松本清張の小説「ゼロの焦点」の舞台のひとつとなったところです。
清張は、このあたりを、暗く陰鬱な地として描写していますが、
いまの赤住は、道路網もとてもきれいに整備され、
そうしたイメージとはほど遠いかもしれません。
これもひとえに、原発を受け入れた恩恵の一端なのかもしれません。

しかし、水素爆発によって破壊された福島第一原発の廃墟を、
日々、見るにつけ、原子炉という機械が、
いかにもろく、不安定で、未熟なものだったのかを思い知らされます。
原発は国が推進してきたものであり、
それがために、私たちは安定した電力を享受し、繁栄を謳歌できたのかもしれません。
ですが、民草が枯れては国家の繁栄などありません。

この志賀町の美しい光景を、汚すことなく後世にまで残す義務が、
私たちにはあるはずです。





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