右舷幅砲

遅ればせながら、ようやく、昨年末に放映された、
ドラマ版の「坂の上の雲」第三部を、全話、見終わりました。
三年に渡って放映されたこのシリーズも、これでついに完結となりました。

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」

今回の放送分は、どれも、
ほとんどのシーンが、日露戦争の戦闘場面に費やされることとなり、
いわば、日本の連続ドラマとしては希に見る、
徹底した軍事/戦闘物になりました。

ですが、司馬遼太郎氏の原作の魅力である「作戦面」での描写は非常に乏しく、
また、時間的制約からか、割愛された箇所も多数に渡りました。

黄海海戦はナレーションのみでシーンはなし、
また、遼陽会戦における黒木軍の側面攻撃のエピソードなども省かれてしまい、
児玉源太郎が繰り出す作戦の面白さ、危うさ、という部分は、結局、
描かれないままでした。

また、最終回の「日本海海戦」においても、
作戦や戦闘の詳細はほとんど描かれないままで、
上村艦隊が独自判断でバルチック艦隊を追撃するエピソードや、
ロジェストヴェンスキーが日本側の捕虜になる、
といったくだりは、完全にオミットされてしまいました。

このあたりが綿密に描かれれば、
原作の面白さが映像として味わえたかもしれません。

ところが、その一方で、
原作にはなかったポーツマス講和会議のいきさつや、
日比谷焼き討ち事件までもが描かれていました。

おそらく、NHKとしては、このドラマが、
単純な国威発揚や戦争賛美にならないよう、強く意識したのかもしれません。
大勝利に終わった海戦の描き方も、演出という面においては、
比較的、淡々としていたように思います。
また、日露双方とも、傷病兵の場面がとても多かったと思います。

ただ、そうした配慮のせいもあってか、
最終回の後半は不必要に長く、間延びした感は否めませんでした。
もっと小気味よくまとめてもよかったのではないかと思います。
個人的には、雨の坂、のシーンで、
エンドマークでもよかったのではないかと思っています。
律儀に好古の最後まで映像化しなくても、と、感じたのですが…。

などと、いろいろと書きましたが、
映像はほんとうにすばらしい。まさに大迫力です。
これらの映像だけで、必見の価値があります。
日本海の荒波を蹴って進む、三笠以下の連合艦隊の姿は、迫真のリアリティです。
一昨年、加賀に、この三笠の実物大セットを見に行きましたが、
(トップの画像が、その実物大の三笠です)
セットは駐車場のようなところにあるにもかかわらず、
ドラマでは、ほんとうに、海に浮かんでいるように見えます。
船首が砕く波にも、まったく違和感がありません。

まるで、日本海海戦を実況中継しているかのような、そんな感さえありました。
原作を読んで、頭の中で想像を巡らせてきた日本海海戦の様子が、
まさに、そのままのかたちで、実写となって目の前に現れたかのようでした。

もっとも、今回放映された第三部のなかで、
総合的な出来がいちばんよかったのは、
この「日本海海戦」ではなく、「二百三高地」だったと思います。
二百三高地では、作戦面についても、
時間の許す範囲でキチンと語られていましたし、
また、危機を打開していくストーリーも、とても見応えがありました。
(映画「二百三高地」を踏襲して作られているせいかもしれません)
二十八サンチ榴弾砲の発砲シーンも、
記録映像を彷彿とさせるリアリティがありました。
二百三高地から旅順港を見下ろす終盤のシーンは、まさに感動的です。

坂の上の雲-全八巻

このドラマ放映を機に、
もういちど、原作本を読んでみたい、とも思いましたが、
全八巻を読破する時間はちょっととれそうにありません。

ポーツマス講和会議のテーブル2

いずれにしろ、明治期の「国難克服」の物語は、
震災と原発事故にあえぐ現代の日本人に、
さまざまな教訓を与えてくれるように思います。
(ちなみに、上の画像は、博物館明治村に保存されている、
 ポーツマス講和会議のさいに使用されたテーブルです。
 このテーブルを挟んで、小村寿太郎とウイッテの外交戦が展開されました)





コチラをクリックしてくださるとうれしく思います。
FC2 Blog Ranking

関連記事
  
コメント
コメントする












 管理者にだけ表示を許可する?

トラックバック
トラックバックURL
→http://nobayashi.blog66.fc2.com/tb.php/387-ac5aa77d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)