
9月入ってから、空の色が、少し秋めいてきたように思います。
もっとも、今年の夏は天候が不順で、ここ岐阜県飛騨地方も、
雨の日ばかりが目立って多く、空の色の移り変わりを察知できるほどに、
夏の青空を見ることもなかったのですが…。
また、こうしたぐずついた天候と同じように、お仕事についても、
8月は滞り気味で、あまり進展がなかったのですが、今月に入って、
諸事動きがでてきた感じになっています。
さて、そんな先週の週末、
愛知県豊田市の豊田市美術館で、7月15日から開かれている、
ドイツとオーストリアの雑誌デザイン | 1890 - 1910展に行ってきました。
もともと、アール・ヌーヴォー、アール・デコが大好きな私にとって、
このような企画展は、もう、ぜったいに外せません。
というわけで、私が住む飛騨高山から、愛知県豊田市までは、
けっこう遠いのですが、それでも、なんとか日帰り圏内ですし、
今回、思い切って、見に行ってみることにしました。
おりしもこの日は、雨ばかりが続いているここ最近のなかで、
めずらしく安定した好天となり、せっかくですので、
夏のあいだはあまり出番のなかった、MINIで出かけてみることにしました。
とはいえ、出発前は家でゴタゴタしていて、結局、家を出たのは午前11時。
長距離を走るにはいささか遅すぎる出発ですが、
それでも、青空のしたを、快適にドライブすることができました。

19世紀末から20世紀初頭のドイツといえば、
カイザーをいただく帝政ドイツの末期にあたるころではないかと思います。
知識が乏しくて恐縮ですが、
この時期は、急速な工業化、大量生産化が社会に広がっていく、
黎明期にあたる時代だと思います。
(この同じ時期の日本は、日清日露の両対外戦争を経験し、
新興の列強国として、国際社会の場で認められた頃だといえると思います)
一方のオーストリアも、
ハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国の末期にあたるころで、
隣国のドイツ共々、
社会が急速に様変わりしていく時期ではなかったかと思います。
工業化は印刷技術の飛躍的な進歩も生み、そこでは、
時代に即した新しい大衆芸術も生まれてきました。
グラフィックデザイン、イラストレーション、などは、
この時代に始まった、と、いえなくもない、などと、私自身は思っています。
その後、両国は、第一次世界大戦や、
ファシズムの台頭を経験していくことになるのですが、
こうした、大きな時代のうねりのなかであったからこそ、
過去の様式と決別した、先進的で斬新な創造物が生まれてきたのかもしれません。

…というわけで、我が家を出発しておよそ4時間後、
無事、豊田市美術館に到着しました。
ひさしぶりでのMINIでの長距離運転でしたが、難無く、
乗り切ってくれました。
ただ、MINIでのドライブは、ちょっと暑かったですネ。
豊田市美術館にやってきたのは、五年ぶりくらいだと思います。
ただ、企画展などもいろいろやっているようなので、
できれば、もう少し頻繁にきたいものです。

ドイツとオーストリアの雑誌デザイン | 1890 - 1910展は、
美術館内のふたつの展示室を使って行われていました。
主な展示は、ドイツの大衆紙「ユーゲント」や、
美術誌「ヴェル・サクルム」など、当時の雑誌の展示や、
アール・ヌーボーの造形物である、ドアノブ、ポット、コーヒーカップ、や、
また、椅子などの展示もありました。
これら椅子のなかには、C.L.マッキントッシュのものも、多数、
含まれていました。

こちらは、展示会場内で唯一撮影が許されているポイントです。
背後の椅子は、マッキントッシュのレプリカです。
座ることも自由にできまるため、来場客のみなさんが、かわるがわる、
椅子の座り心地をたしかめたり、記念撮影をしていました。
また、同時代の絵画として、グスタフ・クリムト、
エドゥアルド・ムンク、エゴン・シーレなどの作品の展示もありました。
エゴン・シーレは好きな画家なので、
この会場で見ることができて、たいへん感激しました。
雑誌「ヴェル・サクルム」には、クリムトがデザインし、
イラストもクリムトが担当しているものもありました。
また、クリムトは、服飾デザインも行っていたようで、
ひとりで何役もこなしていた感があります。
この時代では、あたりまえのことだったのかもしれません。
ちなみに、この企画展の入場料は300円と、
たいへんリーズナブルでした。
興味をお持ちの方は、ぜひ、ご覧いただきたいと思います。
その同じ料金で、常設展なども見られるようになっています。
豊田市美術館 / ドイツとオーストリアの雑誌デザイン | 1890 - 1910
また、豊田市美術館は、建物の屋上も、
美術館にふさわしい雰囲気になっています。

青空とモノリス状の構造物の対比が、幾何学的な美しさを醸し出しています。
キリコやマグリットの絵画みたいですね。
いずれにしても、こうした企画展は、あらゆる意味で有意義で、大いに刺激されます。
今後も、こうした催しには、後学の意味も込め、
可能な限り、積極的に出かけたいと思っています。
コチラをクリックしてくださるとうれしく思います。
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