
さて、ちょっと前の話になってしまいますが、今月の4日に、
岐阜県各務原市にある、航空宇宙博物館に見学に行ってきました。
今回は、その時の模様などを、いくつか写真を交えて、紹介したいと思います。
4日の日曜は、あいにくの雨になってしまい、お出かけをするには不向きな日でした。
ですが、こんな日こそ、屋内施設に出かけてみよう、ということで、
急遽、航空宇宙博物館への見学を思い立ちました。
なにしろ、この博物館では、旧陸軍の戦闘機、三式戦『飛燕』の実機展示が行われており、
私も、この機体を見学に行きたいと思いつつも、なかなかその機会がなかったのですが、
この雨の日曜日に、満を持して出かけてみることにしました。
とはいっても、ここ岐阜市から、各務原市まではとても近く、
クルマであれば、およそ三十分くらいで着いてしまいます。
もっとも、この近さゆえに『いつでも行けるから』という思いがあって、
いままで、見学をする機会がなかったといえるかもしれません。
ただ、この日も、午前中はほかのことをしていたりと、ちょっとバタバタしていて、
結局、お昼ご飯を食べてから、各務原に出かけることになりました。
ところが、途中、渋滞に引っかかるなどして、思いのほか、
現地到着までに、時間がかかってしまいました。
(国道21号線は、いつも混み合ってしまうものなのですが……)
目的地の各務原航空宇宙博物館に着いたのは、すでに午後二時過ぎ。
予定よりもちょっと遅くなりましたが、さっそくチケットを買って入場してみました。
館内は、とても多くの人で賑わっていました。
この施設の人気はとても高いようです。
じつは私は、十年以上前、この各務原航空宇宙博物館には、一度、来たことがあります。
ですが、その当時といまとでは、展示の仕方などが大きく変わっているようでした。

こちらは、サルムソン2A2という偵察機だとのことです。
実機ではなく、復元された模型とのことですが、この機体は、かつて、
この博物館を訪れたさいにも、見学した覚えがあります。
クラシックな複葉機は、味わいがありますね。

そのうえには、ライト兄弟が飛行に成功させたという、
ライトフライヤーが展示されていました。
ただ、天井から吊るすかたちでの展示ですので、細部を間近で見ることはできません。
展示スペースが限られているので、こうした吊るし型展示も、
やむを得ないところではありますが、できれば間近でディティールを見たいものです。

そして、次の展示室に進むと、そこにはすでに飛燕の勇姿が……。
その姿が目に飛び込んでくると、なんともいえないオーラのようなものを感じました。

機体は無塗装状態です。なので、撮影すると、モノクロ写真のような、
色彩を欠いた不思議な印象になりました。
私は、飛行機のことは詳しくないのですが、
この機体のフォルムは、やはり、ドイツ空軍のメッサーシュミットMe109に、
とてもよく似ていると思います。
とくに、エンジンの排気管の位置や、キャノピーのあたりは、
非常に類似しているのではないかと思います。
もっとも、この機体のエンジンは、メッサーシュミットと同様、
液冷V型エンジンを逆さにして搭載していますので、
どうしても、形状において、メッサーとの類似が出てしまうのかもしれません。
(イタリアのマッキも、似ていますよね)
ただ、メッサーの脚の折りたたみ方式と、飛燕の折りたたみ方式は逆になっており、
また、機体下端のラジエーターの空気取り入れ口も、メッサーと違って、
大きく張り出しており、このあたりは、この機の独自性のようなものを、
感じさせるかと思います。

こちらは機首部アップ。鋲の位置などがよくわかります。
また、主脚格納庫はライトアップされていました。

キャノピー部は、一部、最近になって改修されたところなどもあるようです。
しかし、機体の多くの部分は、当時作られたオリジナルのようです。

施設には階段であがる中二階部分もあって、
優美な機体を上部からも見学できるようになっています。

こちらが、飛燕に搭載されていた、液冷のV型エンジンです。
逆さに搭載(倒立)されるので、カムカバーがしたにきています。
それにしても、なぜ、このように、逆さ状態でエンジンを搭載したのか。
そのあたりを、館内にいた職員の方に聞いたのですが、
このように、逆さ状態にすることによって、エンジン上部に、
機銃の銃座を取り付けることができるという利点があり、
また、機体の下方からエンジンの整備ができる利点もあったといいます。
しかも、被弾にさいしても、メリットがあったといいます。
さらに、張り出してしまうカムカバー部分がしたにくることで、
コクピットからの視界を確保するという利点、
加えて、排気管がしたにくるため、仮にオイルなどが漏れても、
キャノピーを汚す可能性が低くなるという利点までもあったといいます。
そうした点を考えると、倒立によるエンジン搭載は、いいことづくめのように、
思われていまします。
ただ、液冷エンジンは、当時の日本の技術力では、生産も整備も、
難しかったようで、機体の稼働率という面において、思惑通りにはいかなかったところも、
あったようです。
また、エンジンの生産は思うようにはかどらず、一方で機体だけは、
計画通り生産が進んでしまい、一部の飛燕の機体は、
空冷エンジンを積んだ『五式戦』として、生産されることになりました。
ちなみに、この飛燕を含む戦闘機には、
木製の増槽(予備燃料タンク)が搭載されていたといいますが、
その生産の多くは、私の出身地である、飛騨高山で多くが生産されたといいます。
実際、私も、高山で木製の増槽を作っていたという話は、子供の頃に聞いたことがあり、
木工製品の製造を得意とした高山らしいエピソードといれるかもしれません。
その増槽の実物の展示もされていたのですが、
職員の方とのお話に夢中になってしまって、撮影するのを忘れてしまいました。
残念です。

また、こうした計器類の展示や、飛燕に付随する展示も多くなされていました。

次の展示ブースは、大型の格納庫となっており、たくさんの機体が集められていました。
こちらは、大型の水上機のようですが、名称はわかりません。
こんな機体があったんですね。

こちらは、最後の有人戦闘機と呼ばれた、ロッキードF-104です。
すでに退役して久しい戦闘機ですが、いま見ても、直線的なフォルムはかっこいいですね。
また、機体のあちこちに書かれた注意書きも、メカ感をより高めているような、
そんな気がします。

こちらは、自衛隊の練習機T-2だったかな。
以前、浜松の航空自衛隊の基地で、コクピットに乗せてもらった機体かと思います。

STOL実験機の飛鳥の実機も展示してありました。
多大な研究費を投じて開発されたにもかかわらず、STOL機の需要がなくなり、
実験機の一機のみの生産で終わったという機体です。

こちらは、アメリカ軍のP-51ムスタングなどに搭載されたという、
液冷エンジンです。こちらは、飛燕と違って、倒立にはされず、
カムカバーが上部にきています。
なんとなく、このほうが、見ていて安心しますね。

この時期は、宇宙関係の展示も広くされていました。
小惑星探査機のはやぶさや、宇宙実験室の展示などもありました。
というわけで、館内の見学を一通り終えて、そのあとは、屋外の展示物を、
見てみることにしました。

こちらは、YS-11です。
ただ、屋外展示ですので、機体のコンディションは、
あまりよいものとは言えないようでした。
こうして、雨の日曜は、飛燕をはじめとする航空機見学で終わりました。
なかなかに有意義な一日でした。
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