
昨年末、名古屋で行われた忘年会のさいに、ゲートモールタワーの本屋さんで、
『ソッカの美術解剖学ノート』という本を見つけました。
この本については、昨年末よりも以前の段階で、
すでに、Amazonなどの書籍販売サイトで見かけていたのですが、
ここ岐阜市では、現物を目にする機会がまったくなく、
この年末のときになって、はじめて、店頭で目にすることができました。
で、まず驚くのが、その厚みです。
こうした大判の書籍では、過去にあまり例がないほど、厚みがあつく、
まるで箱のような感じです。
実際にページをめくると、その厚みと同様、ボリュームたるや、
すごいものなのですが、イラストのクオリティもとにかくすごい。
イラストは、解剖学的な図版をはじめ、コミカルタッチなものや、
また、リアルな描画など、多岐にわたっているのですが、
そのすべてに、しっかりと手が入れられており、ほんとうに、驚くぱかりです。
著者は、韓国の方がだといいますが、とにかく、掲載の作品群も、
また、解剖学の解説についても、これまで、見たことがないほどにくわしく、
わかりやすいものとなっていました。
(もちろんそのぶん、お値段もかなり張る書籍になっています)
というわけで、さっそくこれは買わなければ、と思ったのですが、
おりしも、忘年会に行く直前でしたので、このような大ボリュームの本を買うことができず、
今年に入ってから、amazonで購入することにしました。
(本屋さん、すみません……)
もっとも、購入したのは先月のことで、宅急便で受け取ったあとも、
忙しさにかまけて、amazonの段ボール箱を開けることもなく、
今日まで、塩漬け状態になっていました。
こんなことなら、今月、いろんなものをまとめて買えばよかったな、なんて、
思っています。

解剖学図というと、医学書においては、ほぼすべて、正面図か、
もしくは、側面図となっています。
ですので、解剖学図は、実際の形状を立体的に把握することが、少し困難なときがあります。
しかし、この書籍においては、斜め横からの解剖図があり、
これだけでも、たいへん重宝します。
こうした図が書ける著者は、解剖学の知識と、たしかなデッサン力とを、
しっかりと併せ持っているということだと思います。

こちらは、コミカルなイラストを用いた解説ページになります。
コミカルなイラストといえども、しっかりしたデッサン力に裏打ちされたもので、
極めてレベルの高いものです。
しかも、いままでの解剖学書にはない、とても親切でわかりやすい解説となっています。

同様の資料書籍に、アーティストのための美術解剖学、や、
スカルプターノための美術解剖学というものがあり、どちらも、
とてもよい資料で、私も、筋肉などの解剖図を描くとき、大いに参考にしたものですが、
本書ソッカの美術解剖学ノートは、コミカルタッチのイラストで、
骨や筋の役割や仕組みを解説しつつ、なおかつ、描き方まで指導してあり、
前出の二冊よりも、さらに詳しい内容となっています。
ここまで詳しい書籍は、なかなかお目にかかれるものではありません。
○ ソッカの美術解剖学ノート - オーム社~
しかも、著者のオリジナルイラスト作品も、随所で紹介されています。
そのクオリティもすごいのですが、しっかりと時間をかけて描かれた、すばらしいものです。
背景の細かなディテールまで精緻に描いてあり、注がれた情熱を、
ひしひしと感じることができます。

7,000円を超えるという、お財布に厳しい高額な書籍ですが、
その価値は、充分にあると感じられます。
こうした本を手に取ることができるというだけで、なんだか、
特をしたような気持ちになってしまいます。
とはいえ、いま、私は、筋肉系のイラストを手がけておらず、
内臓系のものばかりとなっていますが、またいずれ、
この書籍が、大いに役立ってくれる日がくるかと思います。
また、訳文も、平易で読みやすい日本語となっており、
読み物としても、楽しめる内容となっています。
著者は、韓国の有名な漫画家であるとのことですが、
この方には、良書を世に送り出してくれたと、感謝するばかりです。
コチラをクリックしてくださるとうれしく思います。
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